大島の魅力を発信する石材業者の味噌づくり 株式会社青山(せいざん)
<今治市吉海町>

石材業を軸に観光や味噌づくりを事業化
「大島石」の採石から加工・販売・施工までを手掛ける「株式会社青山」は、墓石や建設用石材などを県内外に広く販売しています。今治市吉海町の本社は「石・今昔ギャラリー」として開放されており、石のオブジェや装飾品を展示・販売しているほか、大島の石文化の普及を目的に、地元小中学校の社会学習の場としても活用されています。しまなみ海道を訪れた観光客やサイクリストが立ち寄ることも多く、石割りや石細工などの体験メニューを充実させ、多様化するニーズに対応する中、令和5年(2023)に地元の味噌ブランド「水軍味噌」の事業を承継しました。その経緯などについて小田治彦代表(左)と奥様の美智子さんに話をお聞きしました。

ふるさとの味を守るため事業を承継
大島では、愛媛県産のはだか麦やオーガニック大豆、塩などの国産素材を厳選し、昔ながらの製法で作る「水軍味噌」という麦味噌が広く普及しており、大島で生まれ育った小田代表にとっても、慣れ親しんだふるさとの味になっていました。「水軍味噌」の製造・販売は、昭和48年(1973)創業の「水軍食品」(宮窪町)が家族経営で行っていましたが、経営者の小田勇さん(以下、先代)は高齢などを理由に閉業を決断。この話を聞いた小田代表は、先代に事業承継を提案します。「先代とは、私が子どものころから家族ぐるみの付き合いがあり、閉業はとても他人事とは思えませんでした。ふるさとの味を守るために自分にできることはないかと考え、味噌づくりを手伝うことにしました」。この想いと行動が受け入れられ、令和5年(2023)11月に「水軍味噌」の製造・販売を㈱青山が事業承継。石材業と味噌づくりの二足のわらじを履いた挑戦が始まりました。

“変えない”と“変える”のバランスを意識
「水軍味噌」は、ほかの味噌に比べて麹の割合が高く、甘みとコクが深いのが特徴。小田代表は「原料や製法はもちろん、先代の想いや価値観、味噌づくりの姿勢なども“変えることなく”受け継ぐことで、この味が生まれます」と力を込めます。
一方で、時代のニーズに合わせ“変えること”にも果敢に挑んでおり、事業承継直後から商標登録や専用HPの作成、展示会への出展、販路開拓などを開始しました。「畑違いの事業を承継し、かつ採算ベースに乗せて存続させていくには、“変えないこと”と“変えること”とのバランスを意識することが大切。『水軍味噌』というブランドを次の世代へとつなぎ、さらに発展させていくことが承継した者としての責任です」とその覚悟を教えてくれました。

“日本らしさ”という共通点が信頼を育む
小田代表は石材業とは異なる分野に挑戦したことで、新たな視点や販路が広がり、会社の事業全体にプラスになっているほか、「大島石」と「水軍味噌」を取り扱い始めてから、両方の共通点に気付いたそうです。「どちらも国産素材にこだわり、国内の職人が技術を進化させながら製造を続けてきました。この“日本らしさ”が地域の方たちの信頼を育み、商品力を高めてくれています」。
味噌づくりのピークは5月から10月で、1回の仕込みには3日間を要し、この間は何があっても休めません。そんな過酷な味噌づくりのやりがいを尋ねると「地元の方から『また買えるようになって良かった』『無くならなくて安心した』と言われると嬉しいですね」(小田代表)、「先代の人柄もあって、地元の皆さんから愛される味噌に関わることができ、毎日仕事が楽しいです!」(美智子さん)と二人の笑顔が弾けました。

商工会のサポートで世界市場を目指す
今回の事業承継に当たり、小田代表は商工会のサポート機能を活用し、承継後の計画づくりや情報発信、販路開拓などを進めました。フードコンサルタントなど専門家からの指導は今も継続中で、その成果が徐々に表れ始めています。取扱先は道後商店街、県外などにも広がり、ヤナセの会員限定ECサイトでの販売も開始したことで、売上が徐々に伸びています。さらに今後の成長戦略も動き出しています。その一つが、今治市のふるさと納税返礼品にも選ばれた新商品「紅味噌ギフトセット」(4,500円)。麦味噌を2年間じっくり熟成させることで、特徴である甘みとコクがより一層引き立つ味噌となり、評判を呼んでいます。
最後に今後の目標を尋ねると「水軍味噌を通じて地域文化を広く発信していくためにも、海外市場に挑戦したい」と力強い言葉が返ってきました。大島で誕生した「水軍味噌」が“日本らしさ”という武器を追い風に、世界市場の大海原に漕ぎ出そうとしています。
DATA株式会社青山(せいざん)
- 住所
- 今治市吉海町仁江565
- 電話
- 0897-84-4488
- 創業
- 昭和61年(1986)7月
- 事業内容
- 墓石・建築資材などの加工・販売・施工、麦味噌の製造・販売
- ホームページ
- https://suigunmiso-seizan.jp/
