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地元に密着し、夫婦二人三脚で事業を展開 竹林写真館

<越智郡上島町>

地元に密着し、夫婦二人三脚で事業を展開

 越智郡上島町の弓削島にある「竹林写真館」は、事業主の清志さんがフォトグラファーとして手腕を振るい、妻の総枝(ふさえ)さんがレタッチャーと経理業務を担当している‟夫婦二人三脚”の事業所です。創業は平成15年(2003)ですが、実は清志さんの祖父が戦後間もなく同名の写真館を創業し、その跡を継いだ清志さんの父親が健康上の理由で廃業する際に、現在の「竹林写真館」を起業。主な顧客は上島町及び周辺地域の個人、学校、企業・団体などで、家族の記念写真や学校の卒業アルバム写真、企業の商品・サービス写真など、地域で求められるさまざまな写真を撮影しています。
(写真:現在の弓削 竹林清志氏撮影)

「ありのままに。なんとかなる。」に込めた想い

 清志さんは高校卒業後、東京工芸大学の写真学科に進学。家業の写真館を継ぐためと思いきや、「とにかく都会に出たくて、『東京で写真の勉強がしたい!』と言えば親も許してくれると思い、進学しただけです。入学したときはカメラも持っておらず、慌てて買いに行きました(笑)」と当時を振り返ります。
 大学卒業後、フリーの報道カメラマンとして東京や福岡で経験を積み、父親の廃業を機に、弓削島での起業を決意。「撮影の仕事がどれほど島にあるのか、報道カメラマンの技術や仕事のやり方が通用するのかなど不安もありましたが、‟なんとかなる“という想いの方が強かったですね」。この‟なんとかなる”という想いは、現在の事業コンセプト「ありのままに。なんとかなる。」に通じています。「お客様の要望に応えられるかどうかは結局、自分次第。仕事に対し‟できないかも“とか‟無理してでもどうにかしよう”ではなく、‟ありのままに。なんとかなる”と考えることで、ベストなパフォーマンスが発揮できます」と清志さん。実際、顧客の要望に応じて、規格外のプリントサイズに写真を仕上げたり、急な撮影依頼も引き受けたりと、「なんとかなっています!」と胸を張ります。もちろん技術や知識のアップデートにも積極的に取り組んでおり、仕事に対する向き合い方も日々進化しているそうです。

人と会って話すことが、自らの成長を促す

 清志さんがプロとして心掛けていることがもう一つあります。それは「あらゆることにアンテナを張ること」ですが、そこにも清志さん流のこだわりがありました。「音楽や映画、マンガ、ゲームなどのエンタメには常にアンテナを張っていますが、‟いま流行っているもの”を追っかけても、上っ面しか分かりません。本当に大切なのは、 ‟なぜ流行っているのか”‟これからどうなるのか”を見極めること。そのためには、人に会って話を聞くのが一番。いろんな人と話すことで、自分自身も成長できます」と力を込めます。

クラウド会計ソフトを駆使し、経営の可視化を図る

 経理担当の総枝さんは長年にわたり、商工会が推奨するクラウド会計ソフト(現在は「MA1」)を使用しています。その最大の特徴は、ネット環境があればいつでも・どこでも利用でき、ソフトが更新されてもアップデートが不要なところ。また定期的に使用する仕訳をパターン登録すれば、日々の記帳作業がとてもスムーズになります。「もともと経理業務は苦手だったのですが、『MA1』は『Money Link』と連動させることで複数口座の入出金額と明細を自動で仕訳伝票化してくれるので、ストレスが軽減されました」。
 またパソコンの入力画面を見ながら商工会職員によるリモートサポートが受けられるなど、クラウド会計ソフトならではのメリットも高く評価しており、「今後は部門設定を行うことで、売上や利益の状況を詳細に把握し、経営の可視化を図りたい」と意気込みます。

「やりたいことに、真摯に向き合い続ける」

 清志さんに今後の事業展開をお聞きしました。「人口減少や物価高が続けば、事業環境はより一層厳しくなると思いますが、フットワークの軽さを生かして商圏を広げるなど、やれることはまだまだあります」と前向きです。具体的には、地域住民を対象にした「写真教室」や行政などと連携した「フォトコンテスト」などの構想があるようですが、それでも「右肩上がりの成長は考えていない」と言います。「最近、地方で起業した方のニュースをよく耳にしますが、本当に大切なことは事業を続けること。そのためにも本当にやりたいことに真摯に向き合いたいですね」と今後の方針を教えてくれました。
 また子育てが一段落ついたことで、個展などにも積極的に挑戦していく模様。「生涯を通じて制作活動を続け、アウトプットしていきたい」と意気込む清志さんの今後の活躍が楽しみです。

商工会には引き続き、経理業務のサポートを期待

 最後に、商工会に期待することを尋ねました。「ビジネスチャンスの提案はありがたいのですが、費用や時間、マンパワーが限られるので、正直、すぐに手を付けられません。一方で、毎年のように法律やルールが変わる経理業務のサポートは、本当に助かっています。これからも引き続き、経理業務を中心に、事業をサポートしていただきたい」と、現状に即した要望をいただきました。
(写真:ガラスのネガ 竹林清志氏撮影)

DATA竹林写真館

住所
越智郡上島町弓削下弓削1037
電話
0897-77-2760
創業
平成15年(2003)
事業内容
写真プリント、各種撮影、デザイン制作
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